Q & A その10 おまけ編 |
(講演の前後に行われたFinnish aviation magazine誌記者とのインタビュー) -ノルウェー、デンマークとは違い、フィンランドはこれが初めてだそうですね。 -ええ、初めてですね。楽しんでいますよ。こちらの評判は良いものでしたから。 マンネルヘイム元帥のことは、私たちも敬愛しています。 -なにか趣味はお持ちですか?操縦することも含めて。 -操縦することですね。アメリカにいるときだけですがね。あそこでなら、飛行することは簡単ですから。向こうの友人の多くが自家用機を持っていて、ちょっとだけ私にも操縦させてくれるんですよ。もちろん資格者が隣に座って監視しながらですが。これはドイツではできっこないことですね。 -まだ操縦技術は衰えてないわけですね。 -ええ、まだね。でも危険な操縦はしませんよ。操縦席では友人と一緒にですからね。 それでも、いまだに操縦は楽しい。しょっちゅう出来ることではありませんがね。 -若者達に何かメッセージを。 -平和を継続するように努力すること。困難ではあれ、それが唯一の問題解決です。 -戦争のことを夢で見るようなことは、おありですか? -特にありませんが、長い戦争は大きな心理的負担でした。 しかし、私はそれを取り除くことなど不可能だと考えています。 そもそも人生の重大な時代を占めたものが、それなのですから。 21歳から27まで、生活の全てを戦場か病院で過ごしたのですから。無理のない話です。 -あなたは36年にまず陸軍に入隊され、38年に空軍へ。 それは軍制上選択可能だったのですか? -そう、私は元々陸軍にいました。歩兵隊に。 そしてヒトラー政権になったころ、私は飛行してみたくなり空軍に入りました。 空軍に入ると、戦闘機をやりたくなりました。 自分自身戦闘機パイロット向きの気質だったと思います。自分の選択でそうしました。 -戦後西ドイツ空軍への入隊を決心されたのは、どういった精神[動機]からだったのですか? -私は戦後ドイツは西側の同盟に加わるべきだ、と考えました。 そしてNATOに貢献するべきだと。私たちは新米でしたが、その当時の、そして現在のNATOの価値を信じ、そのために働こうと考えました。 -戦後、市民生活に戻った若者達について、いかがお考えですか?彼らの多くは召集のため学問の中断を余儀なくされた訳ですが。 -難しい問題ですね。しかし私は、かつてそこには偉大な[再生の]精神があったと思っていますよ。 敗戦し、80%の都市が焼け野原になった、そのドイツを再建し生活を取り戻した。 そこには偉大な精神の発露があったと思います。 主婦たちまでもが、自らの手で家を建て直したんですから。まさに男女均等ですよね。 当時の私たちは何でもカネ、カネ、カネというような人間ではなかった。現在のようね。 しかし、そういった気運も今では消え去ってしまいました。苦労の結果これなのですから。 かつて、他人を助けることは喜びでしたが、今はそうではありません。 -新(西ドイツ)空軍創設の時、あなたは訓練のため渡米されました。 これはどういったご関係からでしょう? -親善関係ですよ、単なるね。 でもそれ以来何度も向こうを訪れ、多くの素晴らしい友人を得ました。 航空関係者、テスト・パイロット、民間の市民[パイロット?]、ここ3年は毎年のように行っていますよ。 アメリカにしろ、ドイツ、フランスにしろ、[国家間には]過去様々な揉め事があったわけですが、それは、個人同士が一緒に働くこと、個人同士の友情には関係ありません。 50年代には色々愉快なこともありましたね。アメリカへ行ったときの「ゲーリングの鷲、再び空へ」とかね。彼らも、過去の戦争をそんなに気にしている訳じゃないんですよ。 「やあ、やっと来てくれたね。」我々は感傷抜きで過去の戦争について語ります。自分が行動した事実のみを。 いずれにせよ、ジェット時代に私たちの時代の話は[現在の軍事的な]テーマにはなりませんからね。 -現在でも、現在の世界情勢に関心をお持ちですか? -そうです。残念ながら不幸な出来事は現在でも多い。 第二次世界大戦の教訓が生かされていません。嫌気がさすこともありますよ。 -EUの将来について、EU常備軍構想について、いかがお考えでしょうか? -子細な問題については分かりませんが私の意見は、NATOは現在でも、ヨーロッパとアメリカとの間の同盟の架け橋であるということです。 もちろん旧東側諸国への投資は大切です。が、それは実を結ぶには長い時間を要します。 これは疑念の余地無く重要な、平行な[相反する二重の]関係です。 しかし、アメリカとヨーロッパを結ぶNATOこそ守るべき関係である、と私は確信します。 |
by me109fun
| 2005-01-09 23:48
| ギュンター・ラル氏講演
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